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賃貸物件で信頼関係が崩れたときの対応と退去の進め方

対応方法

池田 綾子

筆者 池田 綾子

管理営業部の池田です。オーナー様と入居者様、双方が安心してお取引できるよう、建物の維持管理から入居者様対応まで、スムーズな運営をサポートします。「空室対策」や「修繕・リフォームのご相談」などもお任せください!安心して管理をお任せいただけるよう、きめ細やかな対応を心がけています。

賃貸契約では、オーナー様と借主様の間にトラブルが発生し、信頼関係が崩れることがあります。
特に 家賃滞納、迷惑行為、契約違反 などが原因となることが多く、このような場合にオーナー様は適切な手順で対応することが重要です。

本記事では、「信頼関係が崩れた場合に退去を求める方法」「正当事由の要件」「契約書の効力」「退去通知の期限」「念書の活用方法」についてわかりやすく解説します。

1. 信頼関係が崩れる主な原因
以下のような行為が続くと、オーナー様と借主様の信頼関係が崩れる原因となります。

家賃滞納(特に3ヶ月以上の未払い)
騒音・迷惑行為(近隣住民への影響が大きい場合)
契約違反(無断でのペット飼育、無断転貸、住居用物件での事務所利用など)
物件の損傷・不適切な使用(故意または重大な過失による損壊)
違法行為(薬物使用、不正な営業活動など)
オーナー様や管理会社との連絡無視(注意喚起に対する無反応)



これらが継続すると、「信頼関係の破綻」として退去を求める正当な理由になり得ます。

2. 退去を求めるための流れ
① 口頭や書面での注意喚起
まずは、電話やメール、直接の話し合い で改善を求めます。軽度なトラブルなら、この段階で解決することもあります。

② 書面での警告(内容証明郵便)
改善が見られない場合、「○日以内に改善しないと契約違反とみなす」 と書面で正式に警告します。

※まずポスティングで注意文を送付し、相手の反応を確認します。
改善が見られない場合、内容証明郵便を送って法的措置を取る可能性を伝えます。


③ 念書や合意書の作成
それでも改善されない場合、借主様と交渉し、退去日や未払い家賃の支払い計画などを明文化 します。

④ 法的手続きの準備
借主様が合意しない場合、弁護士に相談し、契約解除や退去訴訟の準備 を進めます。



3. 「正当事由」として認められるケース
貸主が借主に退去を求めるには、「正当事由」が必要になります。

主な正当事由
家賃の長期滞納(一般的に3~6ヶ月以上)
契約違反(無断転貸、禁止されているペット飼育、無断リフォームなど)
騒音・迷惑行為(他の入居者様や近隣への被害が大きい場合)
建物の老朽化・取り壊し(耐震性の問題、修繕不能な老朽化など)
オーナー様の自己使用(オーナー様や親族が住むために物件を使用する場合)
定期借家契約の満了(期間満了時に更新しない契約の場合)


4. 信頼関係の崩壊は正当事由になる?
単に「信頼関係が崩れた」という理由だけでは、退去を求める法的な根拠としては弱いです。
しかし、以下のようなケースと組み合わせれば、正当事由として認められる可能性があります。

✅ 家賃滞納が続いている(支払い遅延が常態化)
✅ 契約違反の証拠がある(無断転貸や違法行為など)
✅ 近隣住民からの苦情が多数(騒音、ゴミ問題など)

これらの証拠をしっかりと残しておくことが重要です。

5. 退去通知の期限はいつまで?
借主様が自主的に退去する場合
◯1ヶ月前まで にオーナー様へ通知するのが一般的(契約内容による)。

オーナー様が退去を求める場合
◯普通借家契約(期間の定めなし)
・6ヶ月前までに通知(借地借家法第28条)
・「正当事由」が必要
◯定期借家契約(期間の定めあり)
・契約満了時に通知すれば退去可能(更新がないため、正当事由は不要)

6. 念書を活用するメリット
念書は、借主様と合意した内容を文書にすることで、トラブルを防ぐ手段です。
ただし、いきなり念書を提示するのではなく、注意喚起を行った後に作成する のが一般的です。

念書のメリット
証拠としての効力がある(後の法的トラブルを防止)
合意内容を明確にできる(退去日や未払い金の支払い期限など)
退去や支払いの約束を守らせやすくなる

念書を作成する前のステップ
1. まずは注意喚起(口頭・書面)をする
2. 内容証明郵便で正式な警告を出す(改善がない場合)
3. それでも変わらなければ、念書を作成する

7. まとめ:トラブル対応のポイント
●信頼関係が崩れた場合、具体的な証拠を集めることが重要
●退去を求めるには「正当事由」が必要
●契約違反・迷惑行為・家賃滞納などがある場合は退去を求めやすい
●いきなり念書を提示せず、まずは注意喚起→警告→念書の流れを踏む
●退去通知の期限を守り、法的に正しい手続きを行う
トラブルが解決しない場合は、弁護士や専門家に相談し、適切な方法で対応することが大切です。


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